VOCAB — 研究にもとづく学習 · NO. 01
英単語が覚えられない原因は?
研究に基づく効率的な覚え方
「昨日覚えたはずなのに、もう思い出せない」
「単語帳を何周しても、忘れてしまう単語がある」。
英単語を勉強していると、こうしたことは珍しくありません。
では、普段はどんな方法で単語を覚えているでしょうか。
たとえば、こんな勉強をしていませんか。
- 単語と日本語訳が載ったフラッシュカードを使っている
- 覚えにくい単語は、ノートに何度も書いて覚えようとしている
- 紙の単語帳を、1周、2周と最初から最後まで繰り返している
- 復習するときは、その日に決めた範囲をまとめて見直している
- 単語帳に載っている例文と一緒に、その単語を覚えている
- 英単語を見て日本語の意味が言えたら、「覚えた」と判断している
どれも、ごく普通の勉強法です。
それなのに、なぜ何度勉強しても忘れてしまうのでしょうか。
この6つの勉強法には、それぞれ学習を非効率にしてしまうポイントがあります。
鍵になるのは、次の3つです。
この3つを研究から考えていくと、普段の勉強法のどこを変えるとよいかが見えてきます。
そもそも、「英単語を覚えた」とはどういうこと?
まず、次の単語を見てください。
SPECIMEN — 同じ単語、ちがう問い
abandon
この単語を「知っている」と言えるでしょうか。
次の問いにはどこまで答えられますか。
abandon はどんな意味?さらに、
abandon を使って、自分で英文を一つ作れる?すべて、同じ abandon についての問題です。
実際のテストなどで遭遇するとき、一つ目にはすぐ答えられるのに、二つ目では少し考える。穴埋め問題になると回答できない。
そんな経験はあるのではないでしょうか。
つまり、「英単語を知っている」は、一つの状態ではありません。
たとえば abandon なら、
abandonを見て意味が分かる- 「断念する」から
abandonを思い出せる - 文の中で意味を理解できる
- 文の空欄に入る単語として答えられる
- 自分でも適切に使える
といったように、一つの単語についても、できることはいくつもあります。
意味が分かる
あとから思い出せる
違う場面でも分かる
必要なときに使える
というように、実際には、その単語についてできることが少しずつ増えていきます。
英単語を「覚えた」とは、単に日本語の意味を言えることではありません。
「覚えた/覚えていない」の二択ではなく、その単語についてできることが少しずつ増えていく過程として考える必要があります。
英単語を覚えるために必要な3つのこと
では、実際にどう勉強すればよいのでしょうか。
研究をもとに考えると、大きく3つのことが重要になります。
1. 意味だけでなく、使われ方まで理解する
知らない単語に出会ったら、まず意味を確認します。
という形です。
ただ、意味が分かったところで学習を終えてはいけません。
例文も確認します。
The company decided to abandon the project.
その会社は、そのプロジェクトを断念することにした。
ここまで読むと、「abandon=放棄する」という日本語訳だけでなく、「計画やプロジェクトを断念するような場面で使われる」と分かります。
例文には、単語と訳だけでは分からない情報があります。
どんな場面で、どんな言葉と一緒に使われるのか。
意味を理解するための手掛かりが豊富な文脈で学んだ方が、単語の意味を理解しやすくなることを示した研究もあります。2
つまり、最初に必要なのは、日本語訳を知るだけでなく、その単語が実際の文章でどう使われているかまで理解することです。
ただ、例文を見ながら「分かった」と感じることと、時間が経ったあとにも覚えていることは別です。
2. 時間を空けて、思い出す
単語の意味を今日覚えたからといって、一週間後にも覚えているとは限りません。
そこで必要になるのが、時間を空けて、後日もう一度確かめることです。
これは spaced practice(分散学習) と呼ばれる考え方です。
言語学習に関する48の実験、3,411人、98の効果量をまとめた分析では、一度にまとめて学習するより、間隔を空けて学習することに全体として利点が見られました。特に時間を置いたあとのテストでは、より長い間隔を空けた復習が有利になる傾向が確認されています。3
では、
1日後 → 3日後 → 7日後 → 30日後
と決めておけばよいのでしょうか。
そこまで単純ではありません。
同じ研究では、等間隔で学ぶ方法と、徐々に間隔を広げていく方法のどちらかが、常に明確に優れているとは確認されていません。3
そもそも、覚えやすさは単語によって違います。
昨日覚えたのに今日もう忘れている単語もあれば、一度確認しただけで一週間後にも答えられる単語もあります。
そうであれば、次に復習する時期まで全単語で同じにしてはいけません。
忘れやすい単語は復習間隔を短くし、よく覚えている単語は間隔を長くする。
そのように、これまでの学習結果をもとに復習時期を調整する仕組みの一つが、FSRS(Free Spaced Repetition Scheduler) です。
Komivoにも採用されており、これまでの復習履歴や記憶の安定度などをもとに、次の復習タイミングを調整します。4
大事なのは、「1日後、3日後、7日後」という日程ではありません。
その単語をどれくらい覚えていたかをもとに、次の復習時期を決めることです。
3. 聞かれ方や文脈を変えて確かめる
時間を空けても、
と答えられるようになったとします。
でも、同じ和訳を思い出す練習だけをしていても、
ができるようになるとは限りません。
さらに、
abstractの音声 → ?
という問題ではどうでしょう。
同じ単語でも、聞かれ方が変わると難しくなることがあります。
一つの単語について身につく知識には、意味だけでなく、綴りや使われ方など複数の側面があるからです。1
そのため、一つの聞かれ方に答えられただけでは、その単語を十分に覚えたとはまだ言えません。
学習が進んできたら、
- 英単語を見て意味を答える
- 意味を見て英単語を答える
- 音声から英語の意味がわかるか確かめる
- 別の例文の中でも意味を理解する
- 必要なら、自分でその単語を使ってみる
というように、確かめ方を変えます。
異なる文脈で同じ単語に触れることについても研究があります。
単語を似た文脈だけで学んだ場合と、多様な文脈で学んだ場合を比較した研究では、学習時とは異なる文脈で意味を判断するとき、多様な文脈で学んだ方が意味を一般化しやすいという結果が得られています。5
一つの例文で意味が分かることは、大切な一歩です。
ただ、その先には、
別の文章でも分かる。
必要な場面で使える。
という別の到達点があります。
必要な勉強は、すべての単語で同じではない
ここまで、英単語を覚えるために3つのことを確認しました。
意味と使われ方を理解する。
時間を空けて思い出す。
聞かれ方や文脈を変えて確かめる。
ただ、この3つを、すべての単語に同じ量だけ行えばよいわけではありません。
意味も使い方も十分に分かっている単語なら、そこを何度も確認する必要はありません。
何度も忘れてしまう単語なら、次の復習まで長く空けない方がよいでしょう。
英語を見れば意味は分かるのに、日本語から英語が出てこないなら、普段と違う方向から復習する必要があります。
つまり、実際に必要な勉強は、その単語を今どこまで覚えているかによって変わります。
この視点で、冒頭に挙げた勉強法を改めて考えてみましょう。
最初の6つの勉強法、何が問題だったのか
単語と日本語訳が載ったフラッシュカードを使っている
→ それだけで学習を終えるのは不十分です。
単語と訳を対応させる学習には効果があります。
しかしそれだけでは、その単語がどのような場面で使われるのかまでは分かりません。
「abandon=断念する」を覚えることと、実際の文章の中で abandon を理解することは同じではありません。例文も含めて確認する必要があります。
覚えにくい単語は、ノートに何度も書いて覚えようとしている
→ その日に何度も繰り返しても、長く記憶できるかは分かりません。
書くこと自体が悪いわけではありません。
ただ、同じ日に10回書けることと、数日後に答えを見ずに思い出せることは別です。
回数を増やすだけでなく、時間を空けたあとにも覚えているかを確かめることが必要です。
紙の単語帳を、1周、2周と最初から最後まで繰り返している
→ 「何周したか」を復習の基準にするのは、効率的とは言えません。
一度ですぐ覚えた単語も、何度も忘れてしまう単語も、同じ単語帳に混ざっています。
それを毎回同じ順番で復習すれば、すでによく覚えている単語にも時間を使うことになります。
必要なのは「2周目に入ること」ではなく、それぞれの単語を、必要な時期にもう一度確認することです。
復習するときは、その日に決めた範囲をまとめて見直している
→ ページの都合と、記憶の都合は同じではありません。
今日の復習範囲を「31〜40ページ」と決めるのは簡単です。
でも、その10ページにある単語すべてを、今日復習する必要があるとは限りません。
昨日忘れた単語と、一週間たっても覚えている単語では、次に確認したい時期が違います。
復習の基準にしたいのはページ番号ではなく、それぞれの単語の学習状況です。
単語帳に載っている例文と一緒に、その単語を覚えている
→ 例文と一緒に覚えること自体は良い方法です。でも、その例文だけで確認を終えるのは不十分です。
文脈は、単語の意味や使われ方を理解する助けになります。
ただ、見慣れた例文なら分かるのに、別の文章に出てくると分からないことがあります。
例文はゴールではありません。
その例文で理解した単語を、ほかの文脈でも理解できるようにするための出発点です。
英単語を見て日本語の意味が言えたら、「覚えた」と判断している
→ それだけで「覚えた」と判断するのは早すぎます。
英単語を見て日本語を答えられることは、語彙知識の一つです。
でも、
日本語から英単語を答えられるか
音声を聞いただけで意味が理解できるか
別の文章でも意味が分かるか
必要な場面で自分でも使えるか
は、それぞれ別に確かめる必要があります。
6つに共通していた問題
6つに共通していたのは、単語単位でどこまで覚えているかが、勉強の仕方に反映されていないことです。
ページ単位で復習する。
何周したかで進み具合を測る。
決まったカードで覚えたかを確認する。
こうした方法では、教材の単位で学習を管理することになります。
でも実際には、
ある単語は、何度も忘れるので早めの復習が必要かもしれません。
別の単語は、意味は分かっていても、聞かれ方が変わると答えられないかもしれません。
紙の単語帳でも、単語ごとに学習内容を管理して勉強することはできます。
ただ、復習時期を一語ずつ管理し、必要に応じて例文を探し、確認の仕方まで変えるとなると、単語数が増えるほど手間も大きくなります。
英単語の学習で難しいのは、効果的な方法を知ることだけではありません。
それを、覚えたい単語それぞれに合わせて続けることです。
ここまでを毎回自分で管理しなくてよいようにする。
それが、Komivo Vocabでできることです。
Komivo Vocabでは、単語ごとの学習管理まで行う
Komivo Vocabでは、ここまで説明した3つの原則に加え、実際の英語学習の中で続けやすくする工夫も加えています。
問題集などで出会った文章を、そのまま単語カードにできる
英語の記事や教材を読んでいて、知らない単語に出会ったとします。
これまでなら、
分からない単語に出会う
DeepLやAIなどでその単語を含む文章やその単語の意味を調べる
単語帳を開く
知らなかった単語・例文を登録する
DeepLやAIで調べた和訳を貼り付ける
と、いくつかのサービスや作業を行き来することもありました。
Komivoでは、例文を入力し、自分が覚えたい単語をハイライトするだけで、例文の和訳から、その文意にあった覚えたい単語の和訳まで作成できます。他のサービスを行き来することなく、Komivo上で、単語帳の作成が簡単にできます。
例文が手元にない場合には、その単語を使った例文を作成し、単語カードとして登録することもできます。
復習する時期を単語ごとに管理
Komivo VocabのReviewモードではFSRSを使い、これまでの復習結果に応じて、次の復習間隔を単語ごとに調整します。
何度も忘れている単語なら、次の復習までの間隔を短くする。
安定して答えられている単語なら、次までの間隔を長くする。
つまり、
今日は31〜40ページをやる
単語帳をもう1周する
という教材基準ではなく、
今、復習すべき単語を確認する
という形になります。
どの単語をいつ復習するかを、自分で一つずつ管理する必要はありません。
様々な問題形式で、覚えたかどうかを確認
英単語を見れば日本語の意味を答えられても、逆方向では出てこないことがあります。文の中で問われると迷うこともあります。音声ではどうでしょうか。
Komivo Vocabでは、複数の形式で単語の定着度を確認します。
一つのパターンを繰り返して終えるのではなく、違う聞かれ方でも答えられるかを確かめながら学習を進めます。

一つのパターンだけではなく、聞かれ方を変えて定着を確かめる。
Test モードでは、新しい例文をKomivoが作成、その文脈でも単語を理解できるか確かめる
さらにTest Modeでは、覚えた単語を別の条件でも確認します。
たとえば、
The company decided to abandon the project.
という例文と一緒に abandon を学んだとしても、その例文だけで確認を続けません。
Test モードでは、例えば、
Due to the severe weather, the organizers decided to abandon the outdoor event.
のような新しい例文をKomivoが作ります。覚えたときとは違う文脈でも、その単語を理解できるか確かめます。


「何周したか」ではなく、「この単語に今何が必要か」
最初に挙げた勉強法の問題は、紙を使うことでも、日本語訳を使うことでもありませんでした。
問題は、教材の順番やページ、周回数に合わせて学習すると、今の自分に必要な勉強とのずれが生まれやすいことです。
ある単語は、もうしばらく復習はしなくて良い。
別の単語は、そろそろ復習した方がよい。
また別の単語は、違う聞かれ方で確認した方がよい。
それぞれ違います。
Komivo Vocabは、その判断と管理にかかる手間を減らしながら、英単語を学ぶためのツールです。
参考文献
- Webb, S. The Effects of Repetition on Vocabulary Knowledge. Applied Linguistics.
- Webb, S. The Effects of Context on Incidental Vocabulary Learning. Reading in a Foreign Language.
- Kim, S. K., & Webb, S. The Effects of Spaced Practice on Second Language Learning: A Meta-Analysis. Language Learning.
- Anki. FSRS (Deck Options). Anki Manual.
- Norman, R. E., et al. Contextual Diversity During Word Learning Through Reading Benefits Generalisation of Learned Meanings to New Contexts. Quarterly Journal of Experimental Psychology.


